同じ施設が、法律によって別の用途になる
見落とされがちな事実があります。ゴルフ練習場は、建築基準法上は「スポーツ練習場」、消防法上は「遊技場」と、法律によって分類が異なります。
この違いが実務でどう効くか。都内でパチンコ店をゴルフシミュレーション練習場に用途変更した設計事務所の公開事例が、分かりやすい例です。
パチンコ店は消防法上「遊技場」です。ゴルフ練習場も消防法上は「遊技場」ですので、この転用は消防法上の用途変更に当たらないと判断されました。一方、建築基準法上はパチンコ店(遊技場)からスポーツ練習場への変更となります。
床荷重が通る場合と、通らない場合
同じ事例で、床荷重の確認も行われています。既存のパチンコ店舗の設計値は300kg/㎡、スポーツ練習場に必要なのは150kg/㎡。必要値が既存値を下回るため適合という判断でした。
つまり、パチンコ店・ゲームセンターのような「重い用途」からの転用は、構造面で通りやすいということです。逆に事務所や物販からの転用では、この確認が別の結論になる可能性があります。
インドアゴルフは、打席まわりの造作と機器で局所的に荷重がかかります。図面上の平均値だけでなく、設置位置ごとの検討が要る点は押さえておいてください。
確認すべき条例
同事例では、適用される条例として次が挙げられています。物件の所在地によって異なりますので、候補地ごとに確認が必要です。
- バリアフリーユニバーサル条例
- 地区計画
- 住環境条例
- 中高層条例
なお、用途変更の確認申請が必要になる面積要件については、この事例には記載がありませんでした。延床面積と既存用途の組み合わせによって判断が変わるため、設計士に確認する運用が必須です。
物件を見るときの順番
居抜きや転用を検討する場合、次の順番で確認すると手戻りが減ります。
- ① 前の業態は何か(消防法上の分類が同じなら、消防の用途変更が不要になる可能性)
- ② 延床面積はいくつか(確認申請の要否に関わる)
- ③ 既存の床荷重設計値はいくつか
- ④ 所在地の条例で追加の要件がないか
- ⑤ 天井高・梁の位置(これは法律以前の物理的な条件)
①〜④は設計士、⑤は設計士と機器メーカーの両方に確認します。当社の開業・運営支援では、この確認を物件申込みの前に行います。契約後に判明したときの損失が大きい項目だからです。
注意点
本稿は公開されている設計事務所の事例をもとに整理したものです。用途変更の要否と具体的な手続きは、物件の所在地・規模・既存用途によって個別に判断されます。実際の検討にあたっては、必ず建築士および所轄の行政庁にご確認ください。
出典
本ページに掲載した数値は、以下の公開情報を参照しています。金額・条件は各社の改定により変わりますので、ご検討の際は必ず一次情報をご確認ください。
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